あなたの人生は過去にとらわれている?『アドラー心理学』

皆さんは、育ってきた環境や過去の出来事などに人生の判断を左右される「過去にとらわれた生き方」をしていますでしょうか?
こう質問されると、なんだか非常にマイナス思考の人間のよう聞こえますが、ほとんどの方は「過去に影響を受けている」と答えられるのではないでしょうか?
だって、過去の積み重ねが現在の自分である訳ですし、その中で培われた性格や人格もありますよね。また、過去を否定すると現在の自分も否定してしまう・・・と感じてしまうかも知れませんね。

このコンテンツでは、心理学者のアルフレッド・アドラーの「目的論」から、「なるほど!こんな考え方もあるんだ!」と、視野を広げる参考にしていただければ良いかと思います。

先ずは、「目的論」を理解するために、相反する考え方の「原因論」から説明したいと思います。

「原因論」とは

「原因論」とは、心理学者のジークムント・フロイトが提唱した理論です。
原因論は『原因や過去があって、今の状況がある』と言う考え方です。何かうまくいかないことがあれば、うまくいかない原因がある!と言う考え方です。
ごくごく一般的な考え方ですよね。冒頭で質問した「過去に影響を受けている」と言うのも原因論です。

「目的論」とは

アドラーの「目的論」とは、『目的があって、今の状況を創りだしている。そして過去の出来事は全く考慮しない』と言う考え方です。
この説明ではちょっと分かりにくいと思いますので、いくつか参考例を上げて説明したいと思います。

参考例

【例1】自分は社交的ではない。
原因論:両親が社交的ではなかったので、自分も社交的な経験の機会がなかった。そのため社交的な場が苦手になってしまった。
(解説=原因:両親が社交的ではなく自分も経験を積めなかった。 今の状況:自分も社交的ではない)
目的論:社交的な場に参加したくないと言う目的のために、両親が社交的では無かったことや経験の機会が無かったことを理由としている。
(解説=目的:社交的な場に参加したくない。 創りだされた状況:社交的な経験を与えなかった両親のせいにしている)

【例2】学校の成績が良くない。
原因論:勉強しても成績が良くならないので勉強しない。
目的論:勉強したくないと言う目的のために、頑張って勉強しても報われいと言うことを理由として正当化している。

【例3】仕事に興味が持てない。
原因論:高校生の時にアイドルオーディションに応募することを父に反対され、仕方なく興味のない仕事に就いた。
目的論:仕事に興味が持てない理由を正当化する目的のために、アイドルオーディションへの応募を反対した父のせいにしている。

【例4】上司との関係がうまくいっていない。
原因論:上司が自分にだけ、些細なミスまで注意してくる。自分は上司から嫌われている。
目的論:自分がした仕事のミスを認めたくないと言う目的のため、上司が自分のことを嫌っているからと、上司のせいにしている。

いかがでしょうか?アドラーの目的論。
少し手厳しい考えになっているかと思います。「論破」された感じですね。しかし、「確かにそうだよね」「そんな一面もあるよね」と納得する部分もあると思います。
「正直、痛いところを突いてくるね~・・・。」「自分でもうすうす気づいていて蓋をしていたことをこじ開けてくるね~・・・。」って感じます。

人は変われる

また、アドラーは「フロイトの原因論では人は良くならない。」と、次のように言っています。『過去の原因は「解説」になっても「解決」にはならない。私たちが関心を持つのは、過去ではなく未来である。』と言っています。
例1~4でも原因論は解説になっていて、目的論は問題の解決の糸口が見えていますよね。
もっとかみ砕いた例にすると「痩せたい」と思っている人に、原因論であれば、「あなたが痩せられない原因は、食べすぎ・偏食・運動不足などですよ。」と指摘しても「わかってますよ!」って言う感じになるでしょう。必要としているのは「痩せるために問題を解決するための方法」目的論だと言うことです。

また、アドラーは「原因が同じでも、全て同じ結末にはならない」としています。つまり「人は変われる」と言っています。
例の1~4でいくと
【例1】 「自分は社交的ではない」→両親を反面教師として、コミュニケーション研修を受講してコミュニケーション能力を上げた。
【例2】 「学校成績が良くない」→親友と同じ学校に進学したいと思い、仕方なく勉強を始めたら、成績が上がり勉強が面白くなった。
【例3】 「仕事に興味が持てない」→仕事を続けていたら後輩もでき、頼られたり任されることも増え、仕事にやりがいを感じるようになった。
【例4】 「上司との関係がうまくいっていない」→上司に自分の思いを伝えたら、上司が自分に期待してくれていることが分かり、上司との関係が良くなった。
このように、何らかの「アクションを起こしたことで、人は変われる」と言うのがアドラーの考えです。

実は、我々カウンセラーは面談を行う際に「原因論」と「目的論」の双方の目線でカウンセリングを行います。
相談者が、できない原因(原因論)を話している時は、その気持ちに寄り添います。
しかし、相談者が成長や改善したいと希望している時は、目的論を相談者と一緒に考え明確にし、目的に向け行動を促しています。

目的論の注意点

目的論で注意していただきたいのは「他人が望んでいないのに目的論を押し付けない」と言うことです。
例題でもお分かりいただいていると思いますが、目的論は「ダメ出し」「論破」「否定」などが色濃くあります。
目的論を他人に押し付けると、人間関係が悪くなってしまう可能性もありますので、くれぐれも注意が必要です。

まとめ

あらためて考えていただくと、あなたの思考は「原因論」でしょうか?「目的論」でしょうか?
決して「原因論」を否定するわけではありません。
しかし我々は、過去の失敗やトラウマを引きずって、行動できなくなっていることも多々あると思います。「自分は過去にとらわれている改善したい」と思われた時は「目的論」で考えてみると一歩が踏み出せるかも知れませんね。
大切なのは変わる勇気です。

【文:Nakaya(M&Pラボラトリー/チーフカウンセラー)
資格:キャリアコンサルタント・2級キャリアコンサルティング技能士】
年間1,500名以上のカウンセリングを実施。仕事の悩みだけでなく、プライベートの悩みや生活改善などもアドバイス。「いきいきと働き、いきいきと生きる」ことをサポートします。

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