相手の立場になれば理解できる報連相

「社会人の基本」と言われる報連相ですが、「基本」と言われるぐらいであれば簡単にできそうなものですが、何故いつまでも「報連相ができていない」と言われ続けるのでしょうか?
それは、新入社員だけでなく先輩社員や上司も報連相が理解できていないからかも知れません。
報連相を円滑にするには、相手の立場を理解することが重要なポイントとなります。

報連相とは

報連相とは、皆さんもご存じの通りですが、報告・連絡・相談の頭文字を取り「報連相」とされ社会人の基本や義務とも言われています。

報告とは
仕事の進捗や結果や成果、ミスやトラブルの報告など、自分しか知らないことを共有することが報告になります。また、報告は業務を依頼した人に完了報告までして終了となります。
連絡とは
仕事に関わる情報やスケジュール、決定事項などを関係者に周知することが連絡になります。なお、近年ではメールやチャットにCCを入れたことで「共有済み」となることが多いですが、重要事項などは必要に応じリマインド(再確認)を行いましょう。
相談とは
仕事に関わる疑問や問題などが発生した際に、上司などからアドバイスをもらうことが相談になります。なお、近年においては仕事以外の相談に乗ることも求められています。

報連相が円滑に行われると

・コミュニケーションが取れる 職場内の風通しが良くなる 信頼関係が築ける。
・上司や先輩がフォローしやすくなる。
・業務が円滑に進み効率が良くなる。
・ミスやトラブルの予防ができる。またミスやトラブルが発生しても早期把握できることからトラブルを最小限に抑えることができる。
・個人のミスでも、会社として対処することができる。
・会社が成長し、従業員の幸せや社会貢献につながる。
など

報連相ができていないと

・コミュニケーションが取れない 信頼関係が築けない。
・部下の状況が把握できないのでアドバイスやフォローもできない。
・意思疎通ができておらず、ミスの原因になる。
・誰が何をどこまでやっているのか把握できないので、業務が滞ったり、二度手間になることもある。
・問題が発生しても、当事者しか把握しておらず大きな問題に発展することもある。また、問題の原因が把握しにくい。責任のなすりあいになる。
・会社の業績悪化。
など

なお、会社のトラブルの原因の80%は意思疎通ができていないことにあるとも言われています。

と、ここまでは報連相の一般的な説明で、研修などでも行われる内容です。
ここからは、なぜ報連相がいつまでもうまくいかないか、新入社員の視点、上司の視点から、報連相の改善点を確認していきたいと思います。

「報連相」新入社員の疑問や悩み

上司が忙しそうなので報連相タイミングが分からない
まず大事なのは、自分本位のタイミングで報連相しないことです。しかし、ミスやトラブルなど緊急性が高いものは、上司がどれだけ忙しそうでも手を止めてもらいましょう。
緊急性が低いことは、上司の手が空いた時に行うようにしますが、上司が常に忙しくしている場合は、メモやチャットで報連相しましょう。
口頭での報連相が必要な場合は「○○商事様の納品につき報告したいので10分ほど時間を頂戴できますか?」などとメモやチェットで報連相のタイミングをうかがいましょう。どれくらいの時間を必要としているかを記載しておくと、上司も予定が組みやすくなります。
なお、上司や先輩から「あれどうなってる?」と聞かれた時は、報連相のタイミングが遅かったかも知れませんね。
どこまで報連相したらよいか分からない
どこまで報連相したらよいか分からない場合、迷ったら全て報連相しましょう。上司や先輩が取捨選択してくれるので徐々に基準が理解できるようになってきます。
報連相の話し方が分からない
これは、結論から話し→経緯や理由→自分の考え→最後にもう一度結論の順で話しましょう。
最悪なのは、推理小説のようにならないことです。最後まで話を聞かないと何が問題だった分からず、もう一度最初から説明をし直すことになります。
怒られそう、一人で解決できないと評価が下がりそう
報連相の最優先事項は、ミスやトラブルの報連相です。怒られることを恐れず、上司がどれだけ忙しそうでも最優先で報連相しましょう。隠蔽、過小報告、先送りは問題を大きくするだけで、余計に怒られることになります。悪いこと程、直ぐに報連相できるようになれば、報連相の達人です。
評価については、最初から何でもできる人はいません。同じミスを繰り返さないことを注意しましょう。
また、自分の理解度を確認するのも良いでしょう「この理解で間違いありませんか?」「自分はこう思っていたのですが、どこが間違っていますか?」「この場合はどうなりますか?」など、疑問を残さないことも大切です。
報連相でしてはいけないワースト3
①嘘をつく・情報やミスの隠蔽・問題の過小報告
②分かったふり・質問しない・報連相が遅い・終了報告をしない
③目的を理解していない・行動が伴っていない・チャレンジしない・自分の考えがない

など

報連相を怠った、ありがちな例
Aさんは、下請け会社に発注ミスをしてしまい、納期に間に合わない可能性が出てきました。下請け会社に無理をお願いしギリギリまで頑張ってもらいましたが、結局間に合わず、上司やお客様には納期直前に報告することになってしまいました。
上司やお客様からは「ミスが発覚した時点でなぜ直ぐに報告しなかった!」と余計に怒られることになってしまいました。
この例のAさんの問題は「間に合えば怒られずに済むかも知れない」「確実になってから報告しよう」と、報連相を先送りしてしまったことにあります。
ミスが発覚した時点で、直ぐに上司に報告していれば、会社としての対応もできたでしょうし、トラブルを最小限に抑えることもできたでしょう。また別の対策もとれたかも知れませんね。
なお、この例の場合、報連相後の対応で重要なのが、納品が完了するまでの間は、上司やお客様から「その後どうなってる?」と聞かれる前に途中経過を逐一報告することです。

部下が報連相してこない原因や理由

先に説明しました通り、報連相の目的や方法が理解できていない場合もありますが
ここでは「上司に報連相しにくい」と言う部下の声を挙げてみたいと思います。

・報連相しようとしたら「忙しいから後にしてくれ」と言われたきり、その後何の声かけもなく、いつ報告して良いのか分からない。
・必要だと思って報連相したら「いちいちそんな報告いらない」と言われた。何を基準にしたらよいのか分からない
・上司や先輩によって報連相の求めるレベルがまちまちで基準が分からない。
・相談したら「それくらい自分で考えて」と言われた。
・相談しても何もアドバイスをくれない
・しばらく相談しなかったら「相談がないってことは、理解できていて、自分でできるってことだね」と言われた・・・
・以前ミスの報告をしたら怒られたので、報告するのがトラウマになっている。

いかがでしょうか?報連相がうまく機能していないのは、上司側にも問題がありそうですね。

上司の問題と改善

「話しかけるなオーラ」出していないでしょうか?
確かに報連相に対応するのは時間が取られます。しかし部下が成長すれば、難しい仕事も割り振ることもできますし、何よりマネジメントは上司の評価になります。また、話を聞く時に、仕事の手を止めず、目も合わせずにはなっていないでしょうか?それでは良好なコミュニケーションが取れているとは言えませんね。
報連相されると責任が自分にまわってくるので聞きたくない。
たとえ報連相を避けれても、管理監督責任から逃れることはできません。
報連相を受けていない方が余計に責任を問われることになるでしょう。
ミスの報告で、原因探しや犯人捜しに終始していませんか?
優先すべきは、今起こっているトラブルの対処です。対処が終われば、今後どうすれば同じミスが起こらないか話し合いをすることです。怒るばかりを続けていると、部下はミスを隠蔽するようになってしまいます。
部下からの相談はちゃんと回答していますか?
相談を受けるだけになっていないでしょうか?回答しないと部下は「相談しても無駄」と判断し、上司への信頼を低下させてしまいます。
忙しい時に、部下から「相談したい」と言われた時「忙しいから後にして」で終わらせていないでしょうか?
部下からの相談は緊急な場合もあります。声をかけられたら「急ぐ内容かな?」と確認し、急ぎでない場合であれば「どれくらいの時間がかかる?」「30分後で大丈夫かな?」とスケジュールを明確にしてあげましょう。
また、「後にして」と言って放置するのは厳禁です。部下との信頼関係が損なわれることになります。
部下の話は最後までしっかり聞いていますか?
途中で遮ってアドバイスに走っていませんか?部下の本音は、しっかり話を聞いてくれると思ったときに出てきます。
「報連相は部下からするもの」と決めつけていませんか?
報連相は経営者や上司からすることも大切です。方針や目的、また状況などが明確になると、部下も迷いが無くなります。
また、上からの報連相は悪いことだけの共有になりがちですが、うまくいったことも共有すると、参考になったり、モチベーションの向上にもつながります。
部下からの報連相を円滑にするには、上司が見本になることが大切です。

報連相の改善

報連相のルールやひな形を作る
基本は5W1Hに報告者の考えを加えることです。
合わせて、完了報告までをルールにしておきましょう。報連相の問題として多いのが、仕事の依頼者に完了報告がされないことです。
報連相のチェック
新入社員の場合などは、中間報告があった際などに「この後は何をする?」と確認するようにすると、報連相のミスが少なくなるとともに、早い段階で報連相を使いこなせるようになります。
部下に考えさせる
部下からの相談に、上司が一から十まで全て答えていると、部下が自分で考えなくなってしまうことも懸念されます。時には「君だったらどう思う?」などと考えさせることも大切ですね。

最後に

いかがでしたでしょうか?報連相を、相手の立場で考えてみると、気づかされることもあったのではないでしょうか?大切なポイントは「他人を変えることは難しい、自分は変わろうと思えば変えることはできる」と言うことです。先ずは自分が変われることを考え、行動に移してみることだと思います。


【文:Nakaya(M&Pラボラトリー/チーフカウンセラー)
資格:キャリアコンサルタント・2級キャリアコンサルティング技能士】
年間1,500名以上のカウンセリングを実施。仕事の悩みだけでなく、プライベートの悩みや生活改善などもアドバイス。「いきいきと働き、いきいきと生きる」ことをサポートします。



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