人間関係が楽になる『課題の分離』

皆さんは人間関係の悩みはありますか?
今回のコンテンツでは、人間関係の悩みを楽にする考え方『課題の分離』について説明していきたいと思います。
『課題の分離』とは、オーストリアの心理学者アルフレッド・アドラーが提唱した理論です。

課題の分離とは

課題の分離とは「自分の課題と他者の課題を明確に分け、お互い踏み込まない」と言う考え方です。

課題の分離ができていない人と、できている人の違い

課題の分離ができていない人
・他者の課題も自分が何とかしようとしていて、コントロールできずにストレスを感じます。
・他者を意識しすぎていることから、他者のために人生を生きていると言うことになります。
課題の分離ができている人
・他者の課題に踏み込まず、自分の課題のみに集中しています。
・他者に左右されることなく、自分の人生を生きることができています。

自分の課題か、他者の課題かの判断基準

・最終的な責任を負うのは誰か?
・最終的な結論を出すのは誰か?

の2つで判断します。

課題の分離の事例

例えば「上司が自分のことを評価してくれない」と言う悩みがあった場合
課題の分離の判断基準で考えると
・評価の責任を負うのは誰か? → 上司
・評価の結論を出すのは誰か? → 上司
つまりは、どちらも上司の課題であり、あなたの課題では無いと言うことになります。
もし、このことを、あなたがどうにかしようと考えているのであれば、上司である他者の課題に、あなたが踏み込もうとしていると言うことになります。そして、コントロールできない上司にストレスを感じてしまいます。
コントロールできないことに注力するよりも、あなたはあなた自身の課題に集中した方が、ストレスも無く、よほど建設的だと言うことです。

課題の分離、こんな場合

「なるほど!課題の分離はイメージできたけど・・・実際に行うのは、問題がありそう?」と考えられる方もおられると思いますので、事例を交えながら解説したいと思います。

自分さえ良ければと言う考えになるのでは?
課題の分離を行うと、自分のことばかり考えて他者のことは考えない、いわゆる「自己中」になってしまわないか? と心配される方もおられます。
先ず、自己中とは「他者をないがしろにして自分さえ良ければ良い」と言う考えです。つまり、「ないがしろ」と言うコントロールを他者にしていることになります。課題の分離ができている人は、他者をコントロールすることもありません。
また、もしあなたのことを「自己中」と指摘してくる人がいれば、指摘すること自体が他者の課題に踏み込んでいることになります。

軽薄な人間関係になってしまうのでは?
課題の分離は「お互い関わらないようにしましょう」と言うことではありません。
課題の分離ができていないと、他者をコントロールしたり、他者からコントロールされる、不健全な関係になってしまいます。
課題の分離ができていると、他者の課題に踏み込まない。つまりは、お互いに尊重しあう関係になります。良好な人間関係とは「お互いを尊重しあうこと」なのです。

親子関係では成立しないのでは?
親子関係では課題の分離は成立しないのでは?と言う意見も多くあります。
しかし、課題の分離ができていないと、親が子供をコントロールしようとして、過干渉・過保護・虐待・ネグレクト(放置)に発展するリスクもあります。親子だからこそ、課題の分離はより重要になります。
例えば、親が子供に「勉強しなさい!」と注意するのはよくあることですが、子供の課題に親が踏み込んでいることになります。注意された子供は「今しようと思っていたのに、注意されたからやる気が無くなった!」と親の思い通りにコントロールされること嫌がり、それを勉強しない理由とします。
だからと言って子供に何も言わなくて良いと言う訳ではありません。子供と将来について話し合い、子供の意見を尊重し、それを実現するには何が必要なのか?子供の課題を明確にしてあげるのは親の役割だと思います。親にできることは、子供を見守り、そして「いつでもサポートするよ!」と言うことを常に日頃から伝えておくことです。
最終的に、結論を出すのも責任を負うのも子供なのです。

自分の課題に踏み込ませない

課題の分離に共感いただいた方は、他者の課題に踏み込まないよう意識されると思います。しかし、課題の分離を知らない他者は、今後もあなたの課題に踏み込んでくるでしょう。その際は、提案されたことを冷静に考え、その提案が良いと思えば受け入れましょう。しかし、いくら考えても自分のやり方の方が良いと思えば、「そのやり方も良いと思いますが、自分は今までのやり方の方がやり易いので」ぐらいで「NO」を伝え、自分の課題に踏み込ませないようにしましょう。
全否定の「NO」は相手のやり方に口を挟むことにもなってしまいます。つまりは相手の課題に踏み込んでしまうことになりますので、「あなたはあなたのやり方でどうぞ」ぐらいにしておきましょう。

まとめ

アドラーは次のように言っています。
・全ての悩みの原因は人間関係にある。仕事やお金の悩みも、他者と比較することにより悩みが生じている。
・悩みが絶えない人は、他者の課題まで解決しようとしている。
・課題の分離ができれば、あらゆる悩みから解放される。

他者の課題に踏み込まず、自分がコントロールできることに集中する事から始めてみられてはいかがでしょうか?

【文:Nakaya(M&Pラボラトリー/チーフカウンセラー)
資格:キャリアコンサルタント・2級キャリアコンサルティング技能士】
年間1,500名以上のカウンセリングを実施。仕事の悩みだけでなく、プライベートの悩みや生活改善などもアドバイス。「いきいきと働き、いきいきと生きる」ことをサポートします。



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