思い通りにならないことが人を育てる
ITインフラの整備やパソコンの普及は、我々の生活を大きく変化させ便利にしてくれています。以前は、図書館で調べていたことも、今では、インターネットで調べれば、世界中の情報を瞬時に得ることができます。
さらに、コロナウィルスの影響もあり、オンライン会議も一気に普及し、移動時間も短縮することができるようになりました。
しかし、便利になった反面、私たちは「更なる問題解決能力や高速化、効率化」を求められるようになり分単位のスケジュールや、マルチタスクが当たり前になってきました。
1990年頃に、栄養ドリンクのCMで「24時間戦えますか?・・・」と言うのがありました。今そんなこと言ったら、ブラック企業と言われてしまうでしょうが、当時は労働時間も長く、休日も少ない時代でした。しかし、携帯電話などもまだまだ普及しておらず、アナログな時代で、時間の流れがゆっくりだったのは間違いありません。
現代は、週休二日制や働き方改革などで、労働時間は短くなっているかも知れませんが、仕事の納期は短くなり、数をこなすことや質の向上を求められるようになっています。
例えるならば、時速100㎞で走行していた道を、時速200㎞で走行することを求められていると言う感じです。当然ですが緊張感とストレスは高まります。また、同じ距離で良いのであれば、時間は半分に短縮されますが、2倍の距離を求められているのが現代なのです。
教育現場でも求められる問題解決能力
では、教育現場などはどうでしょうか?
良い学歴を得ることが目的となり、受験に合格すること、つまりは、効率的に良い点数を取るためのテクニックを学ぶ場にはなっていないでしょうか?そのため広く浅く学習し、本質が理解できていないことから、イレギュラー対応を苦手とする人が増えていると言われています。
勿論、これらの学びは、決して間違っていることでも、悪いことでもありません。
しかし、今の子供の中には、宿題をインターネットでする子も増えていると聞きます。
自分で考えたり、調べたりすることを苦手とする人間は今後も増えてくるでしょう。
ストレス機会の増加と忍耐力の低下
このように、インターネットで直ぐに答えが得られるのが当然となっている現代人は、即座に答えの得られないことや、思い通りにならないことに遭遇した際に、耐えることに慣れておらずストレスを感じてしまいます。
例えば、
スマートフォンの電池が切れてしまったら、不便に感じるだけではなく不安にも感じてしまうでしょう。当然ですが、スマートフォンが無かった時代では、考えられないストレスですね。
このように便利になればなるほど、ストレスの機会は増加しているのです。
そして、昨日まで標準だったことが時代遅れになっていく世の中に現代人はついていかなければならないのです。
時代は常に進化し高速化している訳ですが、果たして人間はそこまで進化したのでしょうか?高速化についていけているのでしょうか?
納期の短縮や数をこなすこと、またマルチタスクは判断の回数を増やし、判断は責任を伴うため人はストレスを感じます。結果的に高速化は、更なるストレス社会にさせているのです。
便利さと引き換えに、余裕と思いやり、忍耐力の経験が少なくなっている
例えば、待ち合わせをするのに、携帯電話が存在しない時代では、事前に日時と待ち合わせ場所を決める必要がありました。そして、待ち合わせに遅れないように「余裕」を持って行動し、相手に迷惑をかけないよう「思いやり」を持っていました。また、待ち合わせ時間に相手が来ないなどイレギュラーなことに耐える「忍耐力」の経験もありました。
今ではどうでしょか?
待ち合わせに遅刻してしまうことがあっても、携帯電話で直ぐに連絡をとることができます。「ドタキャン」と言うのも昔はあまり無かったと思います。
人に寄り添う力も低下している
問題解決能力やスピードを求められる現代人は、即座に答えを出そうとします。そのため「人に寄り添う力」が低下していると言われています。
例えば、あなたが、誰かに相談した際に、直ぐにアドバイスを求めているでしょうか?先ずは「辛いね・・・」などと、共感を求めているのではないでしょうか?アドバイスを必要としている場合であっても、先ず共感あってこそだと思います。
自責や他責も増加
余裕がないことから「相手を思いやることができない」「自分と考えが違う人を受け入れられない」などで他人を責めたり、自分を責めたりすることも増えていると言われています。
例えば
「キレやすい人が増えた」と言われるのも、余裕がないことや、相手を思いやることができなくなっているのが原因かも知れません。
また「SNSでいいね」が欲しい人も、共感される機会が少なく、下がった自己肯定感を補うために、「いいね」を欲しているのかも知れませんね。
まとめ
人生には、解決できないことや、思い通りにならないこと、インターネットで調べても答えが出ないことも沢山あります。
その場に立ち止まり、無理に解決しようとせず、ありのままを受け入れることが「忍耐力」や「思いやり」「余裕」「ストレスに耐える力」を持つことに繋がると思います。
現代社会の流れについていくことも必要ですが、時々立ち止まってみて自分を見つめなおす時間も必要ではないでしょうか?
- 【文:Nakaya(M&Pラボラトリー/チーフカウンセラー)
資格:キャリアコンサルタント・2級キャリアコンサルティング技能士】
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