マイナス思考改善は記憶の仕組みを知ることから「ネガティブな記憶が鮮明に残るのは何故?」

皆さんの中には、マイナス思考で悩んでおられる方もたくさんおられるのではないでしょうか?
マイナス思考を改善する様々な方法が言われていますが、まず最初に知るべきことは「マイナス思考の仕組み」を知ることなのです。
仕組みを知れば対策を取ることもでき、マイナス思考を大きく改善することも期待できますので、ご自身の経験と照らし合わせながら読んでいただければと思います。

マイナス思考の仕組みの問題は、大きく二つある。

一つ目の問題
人間はネガティブを優先するようにできている(ネガティブバイアス:減点方式思考)

ある心理学の調査で次のような検証が行われました。患者に成功率70%の手術を伝える際に、伝え方を変えるだけで、患者の受け取り方がどう変わるか?と言うものでした。
・Aグループには、先に「成功率70%」と伝えると患者はポジティブに受け取りました。しかしその後「失敗率30%ある」と付け加えると患者の受け取り方はネガティブに変わりました。
・Bグループには、先に「失敗率30%」と伝えると患者はネガティブに受け取りました。その後「成功率70%ある」と付け加えても患者の受け取り方はポジティブには変わりませんでした。
このように、人の思考はネガティブな情報を優先するようにできていると言うことなのです。また、ポジティブからネガティブに変わることがあっても、一度ネガティブになった思考はポジティブにはならないと言うことなのです。

二つ目の問題
「ネガティブ記憶は命を守るため、鮮明に記憶する」

例えば、サバンナで、シマウマがライオンに近づき過ぎて、食べられかけたとしましょう。そのネガティブな経験を鮮明に記憶しておかないと、シマウマはどうなってしまうでしょうか?・・・
そうですね!皆さんのご想像通りだと思います。シマウマは、また同じ失敗を繰り返し、いずれライオンに食べられてしまうでしょう。

では、ポジティブな経験はどうでしょうか?楽しいことやうれしいことでも、もちろん記憶に残っている出来事もあるでしょう。しかし、忘れてしまったとしても、命の危険に陥ることはありませんよね。
このように、動物は生存していくために、ネガティブなことを鮮明に記憶するようにできているのです。

なお、シマウマの追加情報ですが、野生のシマウマは立ったまま寝るそうです。それは常に肉食動物から襲われる命の危険に直面しているからです。しかし、動物園生まれのシマウマは横になって寝るシマウマもいるそうです。それは、肉食動物から襲われると言うネガティブな経験をしていないからなのでしょう。

我々現代人は、肉食動物から襲われることはほぼ無いと言えるでしょうが、人間は進化の過程で、早く走ることや飛ぶことができない代わりに、知能を得ました。そして、武器や火を使い住居で身を守る術を身に着けました。しかし知能が発達したことにより、喜怒哀楽や心配事など様々なストレスを抱えるようになってしまったのです。

対策:ポジティブ経験の上書き

このように、ネガティブな情報は、ポジティブな情報より優先され、尚且つネガティブな経験は命にかかわるので鮮明に記憶に残り。ポジティブな経験は記憶に残らなくても命にかかわらないと言う人の記憶の仕組みを理解いただけたかと思います。
また、このことからネガティブ経験の方が多いようにも思い込みも生じてしまうこともご理解いただけると思います。

では、どうすれば良いか?
マイナス思考の克服には「成功体験を積むと良い」とよく言われますが・・・
実はこの成功体験も、鮮明に記憶に残らなかったり、時間の経過とともに薄れていくものなのです。つまり結論から言うと「ポジティブ体験が記憶に残りにくいのであれば、上書きをすれば良い!」と言うことなのです。
ポジティブな経験を日記に残し、定期的に読み返すことにより記憶を鮮明に上書きするのです。何度も読み返し丸暗記できているぐらいになればベストです!
なお、このポジティブ日記の書き方には注意があります。より記憶を鮮明にするために、その日の天気や着ていた服など、細かく記録した方がより記憶の上書きを鮮明にすることができるのです。

新たにポジティブトレーニングを始められるのも勿論良いと思いますが、これから成功体験を積み重ねていかなければなりません。過去のポジティブ経験であれば、既に経験済のことであり、読み返すだけで成功体験を積み上げる即効性があります。

なお、ポジティブ日記をつけていなかったと言う方もご安心下さい。過去の成功体験を思い出せるだけ思い返し、備忘録として書き出しましょう。そして、今後経験する成功体験は、日記として追記していけば良いのです。

また、自分には「ポジティブ経験が無い」と言われる方もおられますが、大きな経験でなくても良いのです。だれかから「ありがとう」と言われたなど、小さな積み重ねが大切なのです。
エベレストに登頂するのも、一歩一歩の積み重ねです。また、全ての人がエベレストに登頂する必要も無いのです。

まとめ

・人間は仕組みとして、ポジティブよりネガティブを優先する。
・ネガティブ経験は命にかかわるので記憶に鮮明に残るが、ポジティブ経験は忘れても命にかかわらないので忘れてしまう。
・忘れてしまうポジティブ経験は、日記に記録し、読み返し上書きし記憶を鮮明にする。


【文:Nakaya(M&Pラボラトリー/チーフカウンセラー)
資格:キャリアコンサルタント・2級キャリアコンサルティング技能士】
年間1,500名以上のカウンセリングを実施。仕事の悩みだけでなく、プライベートの悩みや生活改善などもアドバイス。「いきいきと働き、いきいきと生きる」ことをサポートします。

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