【心を向ける~“気付きを与える聴き方”】

【心を向ける~“気付きを与える聴き方”】

今回は、「引き出す会話術」について、お話をしてみたいと思います。

よく、「本音をいってほしい」という事をお話しくださる方がいらっしゃいますが、

結論から申し上げてしまうと、どんなに、言葉や耳を傾けていても「心」が向いていなかったら、お相手は「心」を開いてはくれないものですよね。

実際に、言葉や外見を超えて「感情・想い」が伝わっていく、という点があります。

こんな事例に思い当たりはありませんか?

◇支配しようとすると、心が閉じていく
◇一人の人として接すると、相手も心を開いてくれる

例えばよく、凄腕の営業マンは「営業をしない」なんていいますよね。

そうなんです!

そもそも、営業でいうのは言葉の通りで「営利」目的なので、「お相手の利益に」中々フォーカスがいきづらいという事が前提にあるのです。

そうなると、「なんだか売りつけられそうだ」という感覚や、見えない壁が現れてしまい、初めから話を聞く体制以前の状態になってしまうケースがほとんどなのですね。

では、「売れる営業マン」は何が違うのでしょうか?

相手の話を、「徹底的に聞く」ことが出来る営業マンです。

これは、良く聞かれるフレーズかと思います。

ではなぜ、「聞く」ことで、売り上げに繋がっていくのでしょうか。
「自然に気持ちを引き出すことが出来るから」ですね。

潜在的ニーズをとらえて、それを話し手に気づかせる。
その上で「そうすると、当社のサービスはこんな風にお役に立てます・・・」とポイントをついて提案できるわけです。

本当にお相手の事を思う=“心を向ける”とは、教えたり、導いたりすることではなく“気づかせる”在り方なのです。

【話すことの効果】~言葉にすることによる“気づき”

 

わかりやすく、営業で例えてしまいましたが、これを個人レベルで当てはめてみましょう。

お相手は、ご自身(や会社)の潜在的な問題に気づいていないことで悩んでいます。

人は、他人のことは分かるけれど、自分のこととなると客観視できなくなるので、なかなか内側にある想いに気づくことができないものです。
そして、話をしてアウトプットしていく中で自身の認識を深めたり、客観視したりできる性質があるのです。

ですので、こちらが話をするよりも、「話を聴く体制」が整っている時=「相手の想いや状況を引き出す」

ことが圧倒的にしやすい、ということになります。

心を向けるとは「フラットに」「相手と自分の立場・関係性を解いて」目の前に「在る」ことです。

私たちは、様々な関係性の中で生きています。また、様々な指標の中で生きていますので、その中でどのように評価されるのかを、常に「無意識で意識」して過ごしています。

この「無意識に意識」している状態が、“壁”となり、本音や心でつながるという機会がなかなか持てずにいるものなのです。

どんなに素晴らしい研修も、どんなに素晴らしい言葉も、相手の心が開いていなかったら、なかなか届いていかないもので、人間として一番大切な部分である「受容」が出来てこそ、初めて伝わるものなのですよね。

この、受容が不思議なもので、「相手を受容」するというのは、「相手を通して自分自身を」を受容することができると、お相手も安心して話をしてくださるものなのですね。

【受容とは、相手を通して自分を捉えること】

 

例えば、「先週つらくて、転職することを考えました」という方がいたとします。

そういったときはまず、自分の中にある「転職したい」という言葉に対する“捉え方”や、“それを受けて感じた感覚”を受け取ることから始めるのです。

実際に、「転職したい」ことは、良いことでも悪いことでもなく、良いことにも悪いことにもなりえます。

ある人は「それは逃げだ」と感じるかもしれませんし、ある人は「今辞められたらこまる」と感じるかもしれませんね。

そして、聴く側に「悪いこと」という評価や「損得勘定」があると、感情が発生し“心のブレーキや支配となり”それが話し手につたわります。

もうそこからは「共感」が得られないという事もつたわってしまいます。

鏡に例えると、聴き手の「感情・ジャッジ」は曇りとなり、話し手は自分をクリアに捉えることがしづらくなるのです。

そうなると、「これ以上話しても(この鏡をみつめても)、なにも見えてこないな」と感じてしまいますよね。

一方、フラットに受け止めることができると、「そうだったのですね、そんな気持ちになるなんて、なにがあったのですか」と聞くことができます。

「良い・悪い」のなどの評価はそこには必要なく、「相手の言葉も」それを受けて「自分の中に湧き上がる想い」も、ただ受け止めて行く事をするだけでいいのです。

そうすることにより、聴き手の判断(ジャッジ)や、感情・感想が介入することなく、話し手はご自身の発している言葉と向きあうことができるようになります。

つまり、フラットに受け止めることができると、相手の事をそのまま映し出す鏡となることが出来るのです。

そして、お相手にとっては、「ご自身の感情や感覚・起きたこと」と客観的に向きあうきっかけとなり、その中には、大切な気付きも自然と、現れていくものなのです。

答えは、その方の中に、しっかりと存在するのですよね!

よく、話を引き出すには?というご質問をいただきますが、そこには、このように「聴き手の意図が働いていないこと」が大切なのです。

カウンセリングで良く聞かれる「傾聴・受容」とは、感情移入することでも、肯定的に受け取る事でもありません。

“話し手にも、自分の内側にも”丁寧に「心を向ける」ことなのです。

【受容とは、相手を通して自分を捉えること】と書かせていただきました。

これは、聴き手と話し手の双方とも、同じ状態にあるという事であり、

それには、『自分も、相手も尊い』という視点にたって頂けるとよいですね。

人は、誠実な対応には、誠実に自然と心を開いていきます。

「私は上司だから、心を開いてもらえないのでは?」などと役割や関係性を気負わず、一人の人として、いつもご自身や職場の皆さん、ご家族と接することを、ぜひ、心がけてみてください。

今週は、関東は涼しい日が続いております。アジサイが奇麗な季節です。
引き続き、ソーシャルディスタンスに心を配りながら、心地良い週末をお過ごしくださいませ。

【文責:橘 佳枝(M&Pラボラトリー関東カウンセラーリーダー)
資格:産業カウンセラー(取得22年)】
幼少期からのDV・乳がんや脱毛症などを経験。「生き方・在り方」の本質を見つめ、ご自身に深い安心感を感じて頂ける対話を心がけています。

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