禁煙を継続させる心理学

なぜ禁煙は継続できないのか

禁煙を継続させるには「身体的依存」と「精神的依存」の二つをクリアする必要があります。
「身体的依存」については、禁煙外来での処方や市販薬などを利用するなどし、時間の経過とともに改善していくことが可能です。
しかし「心理的依存」については薬がありません。そのため禁煙に成功した人が、再び喫煙してしまうのは「心理的依存」に負けてしまうことが原因の大半なのです。
ここでは「心理的依存」を克服する方法を心理学の面からお伝えしたいと思います。

喫煙による病気のリスク

「健康診断や家族からも散々言われて分かってますよ!」と言われる方も多くおられると思います。ざっとだけ喫煙が影響する疾患を列挙しておきましょう。
がん、脳卒中、虚血性心疾患などの循環器疾患、慢性閉塞性肺疾患、肺結核などの呼吸器疾患、糖尿病、歯周病など様々な病気のリスクを上げると言われています。また、近年ではうつ病などの精神疾患の原因になるとも言われています。

身体的依存とは

身体的依存とは、ニコチン依存症のことを指します。
タバコに含まれるニコチンは脳に快楽を与える「ドーパミン」を過剰に放出させます。ニコチンが切れると快楽を求め喫煙を繰り返してしまいます。また喫煙期間が長くなると、同じニコチン量では満足できなくなってしまい、喫煙量は増加していきます。
禁煙することによる禁断症状としては「イライラ」「集中力の低下」「頭がすっきりしない」などが挙げられます。
治療薬としては「タバコを美味しく感じない薬」や「ニコチン切れの症状を紛らせる薬」などがあります。

心理的依存とは

心理的依存とは、喫煙してプラスとなったことやプラスと感じたことを成功体験として記憶していることになります。
例えば、喫煙して「ストレスやイライラが解消された」「集中力が上がり仕事がはかどった」「リフレッシュができた」などが良い経験として記憶に刻まれ、同じようなシチュエーションになると記憶がよみがえり、喫煙で解消できるとの認知が喫煙を繰り返させてしまいます。
心理的依存の問題は治療薬がないことと、プラスに感じた成功体験は時間が経過してもなかなか消えることが無く、ふとしたことで記憶がよみがえることにあります。
また「自分はタバコで病気にならない」などの思い込みも心理的依存の一つとされています。

禁煙を継続させる心理学

ここまでお伝えしました通り「身体的依存」は医療的な治療が可能ですが、「心理的依存」に関しては自身の思考や行動を改善する必要があります。これからお伝えする項目は禁煙が成功した後も継続することが重要になります。
【意思決定(コミットメント:決意表明)】
「本当に禁煙するんだ!」と言う意思決定が重要になってきます。なぜ、禁煙をするのかの目的を明確にしましょう。
仕事としてとらえ期限を決め計画をたてましょう。また計画は禁煙が成功した後も継続するための長期計画にしておきましょう。ご褒美なども計画に組み込んでおくと良いと思います。
コミットメントをよく見る場所に貼りだしておきましょう。スマートフォンの待ち受け画面などにするのも良いでしょう。また家族や周囲の人にコミットメントしておきましょう。その方が後に引けなく意思も固まりますし協力も得られると思います。
【成功体験の記憶を修正】
本当に喫煙することで、ストレスやイライラの解消し集中力は上がっているのでしょうか?また、タバコだけがリフレッシュできるものなのでしょうか?散歩やストレッチなどで少し体を動かしたり、ガムやコーヒーなどでもリフレッシュは可能です。実際に行動し喫煙以外でもリフレッシュできることを成功体験として記憶を修正していきましょう。
【喫煙ルーティーンからの脱却】
自分が喫煙する時間帯を明確にしましょう。例えば、起床後、食後、休憩時間、手持無沙汰、飲酒時など喫煙が日々のルーティーンに組み込まれ条件反射的になっていないでしょうか?このルーティーンには代替えのモノや行動をおこなうことを明確にし、それをルーティーンに組み込んでいきましょう。
【誘惑には近寄らない】
人間は誘惑に弱い生き物です。一番の対処法としては「誘惑に近寄らない」ことです。特に喫煙者が参加する飲み会などには参加しないようにしましょう。
また「1本ぐらいなら」は絶対にNGです。今までの苦労が台無しになってしまいます。
【褒める、ありがとう】
これは家族や周囲の人たちへのアドバイスです。禁煙を継続するには、当人だけではなかなか大変です。家族や周囲の人たちの協力が継続的な効果をもたらします。できなかったことを指摘するのではなく、できたことを「褒め」「ありがとう」の言葉で伝えてあげてください。「やればできるやん」は誉め言葉ではないので注意してください。なおこれも禁煙が成功した後も継続的に伝えることが重要になってきます。
【企業側の対応】
喫煙される方の中には「タバコを理由に休憩に行きやすいから」と言われる方も多くおられます。これは休憩を取るための口実がタバコになっており、喫煙回数を増やす要因にもなっています。また、タバコを吸わない人にとっては不満でしかありません。企業としてはタバコを吸う人も吸わない人も平等に休憩できるルールづくりなどが必要だと思います。

まとめ

タバコ税は、ことあるたびに増税されています。「こんなに税金払ってるのに、なんでこんなに肩身の狭い思いしなきゃいけないの!?」との声もあると思います。しかし、喫煙による健康被害の医療費は、たばこ税を上回るとの試算もあります。このようなことからも、タバコの値段は今後も上がることになると思います。
喫煙されている方の中には「1箱〇〇〇円になったらさすがに辞めるかな!」と言われる方も多くおられます。
つまりは、身体的依存の問題ではなく、意思の問題で禁煙できると言うことなのです。
「百害あって一利なし」とも言われる通り、タバコを止めても失うものは何もありません。逆に、金銭的余裕や健康を手に入れることができますし、喫煙場所を探す必要もなくなります。

今回は心理学の側面からアドバイスさせていただきました。習慣的に行われてきたことを変えるのはなかなか大変なことです。特に自分のこととなると後回しにしたり甘えが出たりしてしまいます。仕事として取り組む感じで良いかと思います。
ポイントを以下にまとめておきますので参考にしていただければと思います。
「どうなりたいのか?目標を明確に!」➡「目標を達成するための問題は?」➡「問題を解決するための方策は」➡「期限明確にする」➡「計画立てて実行」➡「思考を変える」➡「行動が変わる」➡「必要に応じ見直し」➡「継続させる」

【文責:Nakaya(M&Pラボラトリー/チーフカウンセラー)
資格:キャリアコンサルタント・2級キャリアコンサルティング技能士】
年間1,800名以上のカウンセリングを実施。仕事の悩みだけでなく、プライベートの悩みや生活改善などもアドバイス。「いきいきと働き、いきいきと生きる」ことをサポートします。

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