ハラスメントの根源にある『マイクロアグレッション』

皆さんこんにちは
今回は“ハラスメントの根源にある『マイクロアグレッション』”について説明していきたいと思います。
以前の記事『ハラスメントの加害者にならないために知っておきたいこと‼』でもお伝えしましたが
ハラスメントは「自分にそんなつもりが無くても相手が不快に感じればハラスメントになる場合があります。」
ハラスメントのない環境づくりのためにもマイクロアグレッションについて知識を深めていただければと思います。

マイクロアグレッションとは

「マイクロアグレッション」とは「小さな攻撃」や「小さな侵略」また「日常に潜む無意識の差別」と訳され、
同様の言葉として「アンコンシャスバイアス」=「無意識の偏見」と言う言葉もあります。

マイクロアグレッションは、無意識下の先入観や偏見を原因とした思考や行為のため
悪気が無く行ったことだけでなく、好意的に行ったことでも相手を不快にさせてしまう可能性があります。

なお、マイクロアグレッションは「無意識による思考や行為」とお伝えしましたが「無意識を装ったマイクロアグレッション」また「意図的なマイクロアグレッション」があるのも事実です。
その場合は、ハラスメントに該当するかを見極め、しかるべき対応が必要となります。

マイクロアグレッションの具体例

では、マイクロアグレッションの具体例をいくつか紹介したいと思います。
ジェンダー
・女性で管理職ってすごいですね。 → 管理職は男性であると言う固定観念。
・女子力高いね。 → 裁縫道具や傷テープを持ち歩いていることなどが、女性らしさと言う固定観念。
・男性なのに料理が上手ですね。 → 料理は女性が作るもの言う固定観念。
・男性は論理的、女性は感情的 → 男女で思考が違うと言う固定観念。
・男の子が泣くなんてかっこ悪いよ → 泣くことは男らしくないと言う固定観念。
・女の子が料理の一つもできないとお嫁に行けないよ。 → 料理は女性がするものと言う固定観念。
価値観の押し付け・思い込み
・頑張ればだれでも成功するよ。 → 自分や一般論を基準とした価値観の押し付け。
・子供を連れた女性に「ご主人はどんな方?」 → ご主人がいることを前提とした言葉。また、男性がパートナーであることを前提とした言葉。
・子供に「これ、お母さんに渡しておいて」 → 母親がいることを前提とした言葉。
外国人に対して(在日外国人、ハーフ等含む)
・どこの国から来たの?日本語上手だね。 → 日本人でないこと、日本語が話せないことが前提とした発言。
・コンビニに来店した外国人に対して、英語での対応や、箸ではなくフォークを提供。 → 日本語が話せない、箸が使えないのを前提とした先入観からの対応。(これらは、日本生まれ日本育ちであっても、見た目の違いから行い続けられる行為です。)
・ラテン系は陽気なんでしょ。 ブラジル人だからサッカーが得意なんでしょ。 → このような言葉はエリア的なイメージの先入観。
・外国人は小顔でいいね。 → 日本では誉め言葉ですが、外国では「小顔=脳みそが少ない」と馬鹿にした言葉と捉える地域もあります。
LGBTQ
・家族が欲しくないの? → 男女が結婚するのが普通と言う固定観念。
・自分にはゲイの友人もいるしLGBTQには偏見はないよ。 → ゲイの友人がいるから免疫があると言う考えで、免疫=異常に対応できると言うことなので、根底では異常思っていると言うことになります。
その他
・海外留学中だった、日本人のAさんは、授業中に教授から「この場合日本ではどうなの?」と何度も質問されたそうです。Aさんは何も疑問に思わなかったそうですが、現地のクラスメイトらは「日本人へのマイクロアグレッションだ!」と教授への不満の声が上がったそうです。

いかがでしたでしょうか?
「普段から気にせず言ってるよ」と言うことも沢山あったのではないでしょうか?
誉め言葉や親切で言っていることも、受け取り手によってはマイクロアグレッションに感じてしまうことはあります。
しかし、マイクロアグレッションを受け続けると、ストレスが蓄積し、身体的不調、自己肯定感の低下、トラウマ、自殺の発想などへつながることも報告されています。

マイクロアグレッションを受けた際に対応するかの判断基準

アメリカの新聞記事等に掲載されていたものを、参考に紹介しておきます。
①対応したら、自分の身に危険が及ぶ可能性があるか?
②対応したら、相手が攻撃的になったり、口論になる可能性があるか?
③対応したら、相手との今後の関係性に影響があるか?
④対応しなければ後悔するか?
⑤対応しなければ、相手の言動を認めることになるか?

マイクロアグレッションに対応する際の伝え方

①意味を説明してもらう
「どう言う意味か説明してくれる?」「なぜそう思うの?」と、相手を否定しない言葉で質問することにより、相手が攻撃的になりにくくなります。
②意図と影響を分けて説明する
意図:「あなたから言われた言葉は、攻撃的だったり屈辱的に聞こえるので、誰かを傷つけることにもなると思うよ」
影響:「こう言う言い方ならいいと思う・・・・」と相手を否定せず、教えてあげるように話しましょう。
③自分の経験を共有する
「自分も過去に失敗してしまったことがあり、その時自分はこう学んだ。」と、自分の経験談を共有しましょう。
このように伝えることにより、相手が攻撃的になりにくく、聞き入れてくれやすくなると言う伝え方です。

以上がアメリカで紹介されたものですが、カウンセラー(私)として、追加したい判断基準と対応を提案しておきたいと思います。
紹介した判断と対応は、マイクロアグレッションが無意識で行われている場合には有効ですが、意図的に行われている場合に、対応すると相手の思うつぼになる可能性もあります。
意図的な場合は「極力関わらない」と言うことが賢明な場合もあります。また、ハラスメントに至る場合は、しかるべき対応が必要になります。

日本のマイクロアグレッション認識

マイクロアグレッションは、日本でも徐々に認識されてきていますが、先進国の中ではかなり遅れています。
それは、日本国内に人権問題があるからです。
性別、子供のいじめ、高齢者、障がい者、HIV感染者、服役者、同和、民族、外国人などへの人権問題が根強く残っているからです。
そのような問題が、先入観や偏見、固定観念として定着し、そこから発せられるのがマイクロアグレッションなのです。

意識を創るのは言葉から

「意識を創るのは言葉から」とも言われる通り、差別的な言葉が無くなれば、伝わることも無くなり、意識として定着しなくなります。
日本でも少しずつではありますが「ジェンダーニュートラル(性別にとらわれない)」の考えは広がってきています。
例えば
・ビジネスマン → ビジネスパーソン
・看護婦 → 看護師
・保母さん → 保育士 などが定着してきています。
しかし現在も使われる性別分類された言葉も沢山あります。
・女性社長、女性管理職、女子アナ、女子サッカー、女性審判、理系女子など・・・
「○○女子」や「女子○○」など。男性であればつける必要の無いものは、性別分類されている言葉です。
また、残念ながら新たに増えてしまっている言葉もあります。
・イクメン、料理男子、スイーツ男子など・・・
いずれも女性がすることや好きなものと言う固定観念があり、特別な男性とした言葉になっています。

マイクロアグレッションを危惧する意見や肯定する意見も多くある

・悪意のない人を悪人に仕立て上げる危険性がある。
・言われた側の主観にゆだねられてしまう。
・言われた側が「傷ついた」と感じると、言った人を非難することを正当化する根拠になってしまう。
・何も言えなくなる。コミュニケーションのきっかけも作れない。
・外国人観光客からは、好意的な意見も多く「日本人は親切や心遣いでやってくれている」などの声もあります。
・「女子力高いね」「イクメンで素敵な旦那様ね」などを誉め言葉と捉える人もたくさんおられます。

マイクロアグレッションについて話し合おう

このようにマイクロアグレッションには賛否両論があります。
しかし、ハラスメントや差別、ヘイトの根源になっていることは事実です。
職場や学校などでマイクロアグレッションについて話し合い、様々な考えがあること、多様性を理解することがスタートだと思います。

マイクロアグレッションのセルフチェック

「○○なのに」「○○のくせに」と言う言葉を自分が使ったときは
先入観、偏見、固定観念があったのではないか?と疑ってセルフチェックを行ってみてください。

まとめ

マイクロアグレッションを無くすことは不可能だと思います。
大切なのは、自分の先入観、偏見、固定観念に気づき、多様性を受け入れることだと思います。
集団や所属にあてはめないことや、ジェンダーで仕事を分けるのではなく「得意や不得意」で仕事を担当するなども良いかも知れないですね。

ハラスメント対策のためにも併せてご覧ください。
ハラスメントの加害者にならないために知っておきたいこと‼

【文:Nakaya(M&Pラボラトリー/チーフカウンセラー)
資格:キャリアコンサルタント・2級キャリアコンサルティング技能士】
年間1,500名以上のカウンセリングを実施。仕事の悩みだけでなく、プライベートの悩みや生活改善などもアドバイス。「いきいきと働き、いきいきと生きる」ことをサポートします。

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