女性活躍推進法の実施と注意点
労働人口の減少が加速する中、今後ますます労働者を確保するのが困難な時代が訪れます。その状況下で、女性従業員の多様な働き方への対応が遅れる企業は、危機的な状態に陥ることも言われています。
しかし、ただ女性従業員が働き易い環境を整備すれば良いと言うものでは無く、女性従業員の気持ちを理解することが重要になってきます。
先ず「女性活躍推進法」とは
女性活躍推進法とは「女性が仕事で活躍することを、雇用主である企業などが推進することを義務付けた法律」です。
平成28年4月に「女性活躍推進法」が施行された時点では、常時雇用する労働者が301名以上の大企業が対象となっており、300名以下の中小企業は努力義務とされていました。しかし、令和元年6月の改正で、労働者が101名以上の企業に拡大されたことが公布され、施行は公布後3年以内と公表されました。
【平成28年4月施行】
女性活躍推進法の内容
女性活躍推進法に基づき、国・地方公共団体、301人以上の大企業は、
(1)自社の女性の活躍に関する状況把握・課題分析、
(2)その課題を解決するのにふさわしい数値目標と取組を盛り込んだ行動計画の策定・届出・周知・公表、
(3)自社の女性の活躍に関する情報の公表を行わなければなりません(300人以下の中小企業は努力義務)。
また、行動計画の届出を行い、女性の活躍推進に関する取組の実施状況が優良な企業については、申請により、厚生労働大臣の認定を受けることができます。認定を受けた企業は、厚生労働大臣が定める認定マークを商品などに付することができます。
【令和元年6月公布】
女性活躍推進法が改正されました!
令和元年5月29日、女性活躍推進法等の一部を改正する法律が成立し、令和元年6月5日に公布されました。
改正内容は以下のとおりです。
1 一般事業主行動計画の策定義務の対象拡大
一般事業主行動計画の策定・届出義務及び自社の女性活躍に関する情報公表の義務の対象が、常時雇用する労働者が301人以上から101人以上の事業主に拡大されます(施行:公布後3年以内の政令で定める日)。
2 女性活躍に関する情報公表の強化
常時雇用する労働者が301人以上の事業主は、情報公表項目について、
(1)職業生活に関する機会の提供に関する実績
(2)職業生活と家庭生活との両立に資する雇用環境の整備に関する実績
の各区分から1項目以上公表する必要があります(施行:公布後1年以内の政令で定める日)。
3 特例認定制度(プラチナえるぼし(仮称))の創設
女性の活躍推進に関する状況等が優良な事業主の方への認定(えるぼし認定)よりも水準の高い「プラチナえるぼし(仮称)」認定を創設します(施行:公布後1年以内の政令で定める日)。
出典:厚生労働省
義務を怠った企業に罰則はありませんが、届け出情報は「女性の活躍推進企業データベース」に公開されており誰でも閲覧することができます。既に14,000社以上が行動計画公表企業となっています。
届け出をしていない企業は「女性活躍に取り組んでいない」とみなされ、イメージダウンのリスクがあり、取り組みをしている企業に女性求職者が流れてしまうことが想定されます。
また、常時雇用する従業員が101名以上の企業は令和4年6月までに義務化の対象となり、100名以下の企業においても準備を進めておくことが必要となってきます。
女性活躍推進では具体的にどんな取り組みをしていくのか
代表的なものとしては、女性が働き続けるための環境整備「産休、育児休暇の充実」「時短勤務、テレワークなど多様な働き方」。また、「男女格差の解消」「女性管理職比率の向上」などがあります。
制度は整えても固定概念が邪魔をする
しかし、上記の制度などを整えたとしても、社内や女性従業員自身の固定概念変えないと、女性活躍推進はうまく機能しません。
固定概念とは「女性従業員は、いずれ結婚・出産・育児などで退職する」「管理職になるなら男性管理職と同等を求める」「モデルになる女性管理職がいない」「復職後、過剰な配慮から責任のある仕事から外される」「復職後、自ら仕事を制限する」などが言われています。
例えば、管理職であれば、今ある管理職だけではなく、新たな管理職モデルを設定するなど、柔軟に考えることが必要になります。
女性従業員の気持ちを理解することが重要!
しかし、企業が勝手にモデルを設定しても、女性従業員のニーズに合っていなければ意味がありません。
「バリバリ働きたい」「私生活を優先したい」「私生活を優先したい期間がある」また「予定が変わった」などもあるでしょう。
女性従業員個々と話し合い、キャリビジョンに合った働き方とマッチングさせて、はじめて女性活躍推進は機能することになります。
まとめ
個々にマッチングさせていくのは大変手間のかかることかも知れませんが、制度が整っていないため女性従業員が退職し、新たな従業員を採用した場合、採用や教育にかかる費用や時間の方が、企業リスクは大きくなってくるとも思われます。
また将来的に、女性だけでなく、男性の柔軟な働き方も求められてくるでしょう。
急務として取り組むことが必要かと思われます。
- 【文責:Nakaya(M&Pラボラトリー主任カウンセラー)
資格:キャリアコンサルタント・2級キャリアコンサルティング技能士】
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