ベストな睡眠の時間と質

睡眠は、疲労やストレス回復のために「最も重要」と言っても過言ではありません。
近年「睡眠負債」と言う言葉もよく聞くようになりましたが、睡眠の時間が短かったり、質が悪いと、借金のように負債がどんどん膨らんでいくと言うことです。
睡眠時間は一般的に7~8時間が良いとされていますが、多くの日本人は5時間未満の方が多く、日中のパフォーマンスや集中力は2割低下するとの研究結果も報告されています。
また世界的に見て、日本人の睡眠時間の短さは、3本の指に入ると言われています。どれだけ日本が疲労大国であるかと言うことが分かると思います。
また、自分は「7~8時間寝てるから大丈夫!」と言う方でも、睡眠の質が悪ければ当然のことですが、疲労回復は期待できません。
睡眠は、「時間」と「質」の両方を良くすることが必要なのです。

自律神経を整える

睡眠を良くするためには、自律神経を整える必要があります。
自律神経は、緊張や興奮時に働く「交感神経」と、リラックス時に働く「副交感神経」に分かれています。睡眠時は交感神経を抑え、副交感神経が優位にしておくことが大切になります。交感神経が優位のままだと、緊張・興奮状態になっている訳ですから、寝つきが悪くなるのは当然ですし、眠れたとしても質は悪くなっています。
参考までに、交感神経と副交感神経の具体的な役割を書いておきます。
交感神経が優位な状態では、血管:収縮、血圧:上昇、心拍:早く、筋肉:緊張、腸:ぜん動運動抑制、発汗:増
副交感神経が優位な状態では、血管:拡張、血圧:下降、心拍:ゆっくり、筋肉:弛緩、腸:ぜん動運動促進、発汗:減

睡眠の質を悪化させる生活習慣

日中のストレスなども大きな原因ですが、生活習慣で睡眠の質を悪化させるのが、アルコール、カフェイン、パソコン(スマートフォン、タブレット)、運動不足や食生活の乱れなどがあります。

アルコール

寝酒で眠りにつくと言う方は少なくありませんが、アルコールはすぐに耐性ができてしまい、量を増やさないと眠りに入れないなど、アルコール依存症になるリスクがあります。
また「お酒を飲むといびきがひどくなる」と言われる方も多くおられますが、呼吸器系の筋力の低下や気道が狭くなり、いびきが起きやすくなります。当然、呼吸がしづらくなっている訳ですから疲労回復もしにくくなります。また、悪化すると睡眠時無呼吸症候群になり、さらに疲労回復できないだけでなく、突然死のリスクなども高くなります。
また、飲酒によって水分を多くとることから、夜間トイレに起きることも増え、睡眠が中断されてしまうことから、質はさらに悪化してしまいます。
飲酒は適量にし、休肝日を設けることが望ましいでしょう。
なお、睡眠導入剤などを服薬されている方は、くれぐれもアルコールとの併用は避けるようにしてください、記憶障害や肝機能障害など、様々な事故や病気の原因になってしまいます。

カフェイン

コーヒーは、リラックス効果やがん予防など様々な良い効果も言われていますが、こと睡眠に関すると昼の2時以降に飲んだコーヒーは睡眠に影響があると言われています。それは、カフェインを分解するのに12時間要すからなのです。
私も、以前はコーヒーをよく飲んでいましたが、ここ数年はあまり飲まなくなりました。たまに、夕方以降にコーヒーを飲むと、夜になかなか寝付けなくなってしまいます。また、トイレも近くなってしまいます。
このように、カフェインもアルコール同様に頻繁に摂取すると、依存性や慣れが生じてくるものなのです。
夕食後や就寝前のコーヒーは控えていただいた方が良いでしょう。
また、近年エナジードリンクなど、子供たちも簡単に購入できる状況にあることから。子供たちのカフェイン中毒が増えています。飲みすぎにはくれぐれも注意が必要です。
日本ではカフェインの摂取量の目安は定められていませんが、海外では健康な成人の最大摂取量を一日400mgまでと定めている国もあります。
参考に、カフェインはコーヒー以外の飲料などにも含まれていますので、代表的なものを記載しておきます。
100㎖あたりの含有量、コーヒー:60mg、玉露茶:160mg、紅茶:30mg、ウーロン茶:20mg、コーラ:10mg、エナジードリンク:30~300mg。チョコレートは25gで7~25mg

パソコン、スマートフォン、タブレット

仕事で一日中パソコン作業や、スマートフォンなどで仕事の連絡や空き時間はSNS、動画やネットを見るなど、パソコンやスマートフォンに向き合う時間は格段に増えていると思います。このような状態は、肩こりや首コリ、眼精疲労の原因になるだけでなく、交感神経を高ぶらせる原因となります。また画面から発せられるブルーライトは体内時計を狂わせる原因になります。本来、体内時計は太陽光を浴びることによりリセットされますが、ブルーライトを浴びることによっても同様にリセットされてしまいます。
「スマホを見ながら寝落ちしている」と言われる方も多くおられますが、体内時計は「これから活動に入る」状態になり、質の良い睡眠をとることができません。さらに真っ暗な中でスマホなどを見ていると、瞳孔が広がり、さらにブルーライトの影響を受けやすくなってしまいます。
就寝の2時間前には控えた方が良いと言われているので、少なくとも1時間前には控えておきましょう。

運動

運動による適度な身体の疲労は入眠しやすくなると言われています。軽く汗をかく程度の運動が望ましいでしょう。しかし、運動は交感神経を高めてしまうことから、入眠の2時間前ぐらいに行うのが望ましいとされています。また、ヨガなどは副交感神経を高めると言われていますので、入眠直前に行うのであればヨガなどが良いでしょう。

食事

食後直ぐに寝ると、肥満や高血圧、糖尿病のリスクが高くなると言われています。就寝の1~2時間前には食事を終了させ、できるだけバランスが良く、消化の良いものが望ましいとされています。
また、歯磨きは覚醒効果があるため、就寝の直前ではなく、食後直ぐに行うことが良いでしょう。

入浴

入浴は、熱すぎないお風呂(40℃程度)に浸かり、深部体温を上げておきます。お風呂から出た後に1時間程度くつろいだ状態でいると、睡眠に適した深部体温に下がります。

部屋の照明照

照明の色は、太陽光に近い「昼光色」と、黄色味をおびた電球色と言われる「白色」が代表的なものになっています。刺激を避け、リラックスした状態になるには白色が適しています。リビングや寝室など、可能であれば白色にされることがお勧めです。

睡眠に入る前の時間割

睡眠をより良くするための、項目は記載した通りなのですが、どの順番ですれば良いかとなると、それは人それぞれになってきます。特に運動においては・・・
・脂肪燃焼(ダイエット)を目的とするのであれば夕食の前に運動が良いでしょう。しかし、低血糖や貧血のリスクがあるので注意が必要です。
・運動の質を上げる(筋肉をつけたい)ことを目的とするのであれば、夕食後の運動が良いとされています。食事は運動の2時間前に済ませることで筋肉への栄養補給がされると言われています。
以上のことも含め、逆算で考えると
①就寝
②くつろぎの時間(1時間程度)刺激的なことは避け、リラックスできる読書などが良いでしょう。
③入浴
④夕食と運動、どちらを先にするかは、あなた次第ですね。

睡眠は最初の90分が大事「ノンレム睡眠」と「レム睡眠」

なぜ、ここまで睡眠に向けての準備をしないといけないかと言うと、睡眠は最初の90分が最も大事と言われているからなのです。
睡眠にはノンレム睡眠(脳が寝ている状態、身体は起きている状態)と、レム睡眠(脳は起きている状態、身体は寝ている状態)があります。疲労回復するにはノンレム睡眠が大事と言われています。睡眠はノンレム睡眠から始まりレム睡眠へと90分サイクルで移行し、一晩に4~5回繰り返されます。最初のノンレム睡眠から徐々に睡眠は浅くなっていくため、最初の90分でいかに深い睡眠をとるかで睡眠の質は大きく変わってくるからなのです。

昼寝の時間

昼寝は、午後からの作業効率を向上させると、昼寝を推奨している会社もあります。しかし、長時間昼寝をすると、深い眠りに入ってしまい、集中力の低下や夜の睡眠の質を悪化させてしまいます。そのため昼寝は15分程度が良いとされています。

休日のまとめ寝

「休日にまとめ寝をしている」と言われる方も大変多くおられます。しかし、体内時計が崩れてしまい、その日の夜に質の良い睡眠がとれなくなり、休日明けに疲れを残してしまうことになってしまいます。海外旅行などで時差ボケになっている状態と同じですね。休日も平日と大きく変化させない生活サイクルが望ましいでしょう。

夜更かしの仕事や勉強

また、余談でありますが、夜更かしでの仕事や勉強は、生理学的にも効果が薄いと言われています。
睡魔と闘いながら、仕事や勉強しても効果が上がらないのは当然の事ですね。仕事や勉強が終わって床についても、無理やり交感神経を上げて(コーヒーで目を覚まして)いたため、睡眠の質も悪くなってしまいます。当然ですが翌日の集中力は低下してしまいます。生理学的には、夜は早めにゆっくりと睡眠をとり、早起きして仕事や勉強するのが効果的だと言われています。早起きで交感神経を高めても、その後の仕事や学業に悪影響はありませんからね。

朝に体内時計のリセットを

朝起きたら、カーテンを開けて太陽光を浴びましょう。曇っていても効果はあります。太陽光を浴びることにより体内時計がリセットされ、15時間後ぐらいには自然と眠気が来るようになります。
また、どうしても目覚めが悪い場合は、交感神経を高めるため軽く運動したり、熱めのシャワーを頭や首、背骨の辺りにかけると良いでしょう。

睡眠時無呼吸症候群

私がカウンセリングさせて頂く方の中にも、睡眠時無呼吸症候群の方はたいへん多くおられます。また、自覚があっても放置されている方も多くおられます。
睡眠時無呼吸症候群は、突然死や交通事故のリスクが3倍に増えることは報告されており、放置しておいてよい病気ではありません。
また、睡眠時無呼吸症候群は、肥満傾向にある方の病気との認識をされている方も多くおられますが、近年、小顔や顎の骨格が小さいことが原因による発症リスクも高くなっています。そのため、若い女性などでも発症されている方もおられます。
睡眠時無呼吸症候群の症状や、いびきがひどい方(睡眠時無呼吸症候群の予備群)は、睡眠専門外来やいびき外来などで受診されることをお勧めします。
関連記事:放置すると命を脅かす【いびき・睡眠時無呼吸症候群】
睡眠専門外来:大阪本町メディカルクリニック

うつ病と睡眠時無呼吸症候群

うつ病などの発症には、様々な原因がありますが、その一つに睡眠障害があります。
日中に、眠気がある、気力がわかない、集中力の低下、倦怠感など、うつ病と症状が似ていることから、心療内科等でも気づかれないまま、うつ病と診断されるケースもあります。
心療内科などに通院されている方で、睡眠時無呼吸症候群の症状のある方は、医師にそのことも併せて相談するようにして下さい。治療すべきところが違ってくるかも知れません。

【文責:Nakaya(M&Pラボラトリー/チーフカウンセラー)
資格:キャリアコンサルタント・2級キャリアコンサルティング技能士】
年間1,800名以上のカウンセリングを実施。仕事の悩みだけでなく、プライベートの悩みや生活改善などもアドバイス。「いきいきと働き、いきいきと生きる」ことをサポートします。

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