「うつ病⁈」先ずその前に確認してほしい「睡眠時無呼吸症候群」

今回は、「睡眠時無呼吸症候群」の治療をおこなったことで「うつ病症状」が改善したと言う、カウンセリング事例について書かせていただきたいと思います。

うつ病とは

厚生労働省「知ることからはじめよう、みんなのメンタルヘルス」には、うつ病の発症の原因について「原因は今のところわかっていません・・・」と前置きされ「感情や意欲を司る脳の働きに何らかの不調が考えられています。うつ病の背景には、精神的ストレスや身体的ストレスなどが指摘されることが多いです・・・」と記載されています。
症状としては、「気分の落ち込み」「やる気が出ない」「集中力が続かない」「疲れやすい」「体がだるい」「眠れない」などが多く、仕事や学業・私生活に支障をきたしていると言うものです。
心療内科等を受診されている方は「睡眠導入剤」を処方されておられる方も多く、うつ病治療において睡眠がいかに大事かと言う事がわかると思います。
「うつ病は日本人の17人弱に1人が生涯で経験する」と言われていますので、カウンセリングでも「うつ病」のご相談は非常に多くなっています。

睡眠時無呼吸症候群とは

睡眠時無呼吸症候群の主な原因は、首やのど周りの脂肪の増加や舌の沈下、扁桃肥大が原因で気道がふさがり空気の通りが悪くなるといびきになり、一時的に閉塞している状態が睡眠時無呼吸症候群になります。
睡眠時無呼吸症候群は、突然死や交通事故のリスクが健常者の3倍にはね上げるとの調査結果もあり、放置すると怖い病気なのです。
「太ったおじさん」とのイメージが強いかも知れませんが、小顔で顎が小さく口腔内のスペースが小さい女性の方などもリスクはあります。
(詳しくは「放置すると命を脅かすいびき・睡眠時無呼吸症候群」をご覧ください。)
睡眠時無呼吸症候群の症状を例えるなら、酸欠状態に加えて毎日徹夜を続けている状態です。
このような状態では、質の良い睡眠はとれず疲労回復ができるはずもありません。
体調や精神状態は「気分の落ち込み」「やる気が出ない」「集中力が続かない」「疲れやすい」「体がだるい」などうつ病と同様の症状が出ます。

酷似する症状

このように「うつ病」と「睡眠時無呼吸症候群」は発症原因は全く違うものの、症状は酷似しています。
そのため心療内科等でも判断がつきにくいとされ、初診の際に睡眠時無呼吸症候群の有無を確認される医師も増えていると聞いています。
また患者も症状だけでなく、生活習慣なども詳しく説明することが大切だと思います。

睡眠時無呼吸症候群治療で、うつ病症状が改善した事例

事例1(Aさん 48歳 男性)
Aさんの主訴は、40歳の頃の怪我で身体に少し後遺症が残ってしまい、それ以降睡眠不良と日中の気分の落ち込みが続き心療内科を受診されたとのことでした。
心療内科では、怪我や後遺症がきっかけとした「うつ病」と診断され、睡眠導入剤等を処方され服薬を開始されました。8年間色々試されたとのことでしたが、それでも日中の眠気やだるさは改善せずに辛いと言うものでした。
カウンセリングの所見では、怪我や後遺症のきっかけとした「うつ病」を前提としてお話を伺いしました。
しかし顔色や活舌も悪く、また体形的にも肥満気味だったこともあり睡眠時無呼吸症候群の有無を質問すると「以前から家族に指摘されている」また「心療内科では話していない」とのことが判明し睡眠外来を受診することを強くお勧めました。
睡眠外来での診断結果では、睡眠時無呼吸症候群で重症との診断で、すぐにCPAP(シーパップ:持続陽圧呼吸療法:機械で圧力をかけた空気を気道に送り込む)の装着を処方されました。
その後のカウンセリングでAさんは「CPAPの装着にまだ違和感があり寝ている間に外してしまう」と言われつつも「だいぶん寝れるようになり日中も楽になってきた」とのことでした。外見的にも顔色と活舌の改善がみられました。

事例2(Bさん 20代 女性)
Bさんの主訴は、10代の頃から睡眠不良の症状が出始め、心療内科に通院し睡眠導入剤等を処方されたが、服薬しても睡眠が改善されないと言うものでした。睡眠不良になったきっかけも特に思い当たることもないとのことでしたが、進学等での環境変化もあったことから、心療内科では「適応障害を起因としたうつ病」と診断されたとのことでした。
カウンセリングの所見では「適応障害を起因としたうつ病」を前提としてお話を伺いしました。
しかしBさんが小顔で顎の骨格も小さいことから睡眠時無呼吸症候群の有無について質問をすると「まさか自分が・・・」と言いつつも「息が詰まって目が覚めることがある」とのことでしたので、睡眠外来への受診を勧めました。
睡眠外来での診断結果は、睡眠時無呼吸症候群の重症ではないものの、無呼吸の症状はアリと言う事でマウスピースの装着を処方されました。
その後のカウンセリングでは睡眠改善に向けた生活習慣等のアドバイスを行い
(詳しくは「ベストな睡眠の時間と質」をご覧ください。)
睡眠の質は改善され、睡眠導入剤の減薬もできているとのことでした。

まとめ

その他にも同様の事例はたくさんあります。
相談者からは「人生が変わった」「今までの睡眠は何だったのか?」「ありがとうございます!」と感謝の言葉いただくこともよくあります。
うつ病などの精神疾患や睡眠障害で悩んでおられる方々の全てがそうだとは思いませんが、一度睡眠時無呼吸症候群を疑ってみられても良いかと思います。
先ずは、ご家族に確認していただくことや、スマートフォンのアプリでもいびきを録音してくれるものもあります。そして、いびきが酷い、さらには呼吸が停止している場合は「睡眠外来」や「いびき外来」を受診されることをお勧めいたします。

【文:Nakaya(M&Pラボラトリー/チーフカウンセラー)
資格:キャリアコンサルタント・2級キャリアコンサルティング技能士】
年間1,800名以上のカウンセリングを実施。仕事の悩みだけでなく、プライベートの悩みや生活改善などもアドバイス。「いきいきと働き、いきいきと生きる」ことをサポートします。



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